当院にて局所麻酔以外で手術を受けられる方は、常勤の麻酔科専門の医師2名が手術中の麻酔を担当いたします。
麻酔方法は全身麻酔(手術中眠っている状態の麻酔)と半身麻酔(極細い針を背中から使ってへそから下を無痛状態にする麻酔)があり、患者様の希望によって麻酔法を選ぶことも可能です。
手術を受ける方には来院後担当の麻酔科医がお部屋まで伺って麻酔の手順や方法をご説明いたしますので、もし疑問のあることや心配なことがございましたらその折にご質問ください。
手術が終わったあと痛いのではないだろうか、と心配な方もおられると思います。
当院麻酔科では世界の手術医療の標準的な考え方になりつつあるMultimodal Analgesia(作用機序の違う鎮痛薬を複数用いることで痛み止めの効果を最大限にする考え方)を取り入れており、手術中から患者様の術後の痛みを減らす工夫を行っております。
脊椎外科の手術においては整形外科と連携の上Intrathecal Morphineという新しい鎮痛方法も取り入れており、患者様が術後に感じる痛みを最小限にすべく診療を行っております。
よく患者様に尋ねられる質問にお答えします。
Q.麻酔はちゃんと目が覚めますか?
A.麻酔といっても薬の作用ですので、ちゃんと覚めます。痛み止めを飲んでも永遠に効いていることがないのと同じことです。
Q.全身麻酔ってどんなふうにかかるんですか?
A.点滴から薬が入ると10秒もかからず、知らない間に眠ってしまいます。その時にどのように感じるかは患者様によって違うようですが、眠ったこと自体覚えておらず手術が終わったとき「え、もう終わったんですか?」と聞かれることもよくあります。
Q.麻酔は痛くないですか?
A.全身麻酔は点滴から薬が入るだけなので、痛くはありません。お薬の刺激で少し点滴の入っている場所(血管)に違和感があることがあります。
半身麻酔の場合は背中に細い注射をしますので少し痛いですが、痛み止めのお注射をしっかりと効くまで打ってから行いますので心配いりません。
Q.手術後の痛みはどのくらいですか?
A.手術・患者様にもよりますが、痛み止めを手術中からMultimodal analgesia(様々な鎮痛薬を使用して効果を最大限とする)、Preemptive analgesia(先制疼痛。身体が痛みを感じる前に痛み止めを使う)の考え方で使用しておりますので、痛みで我慢できないようなことはほとんどありません。
それでも痛みが強い場合は術後に痛み止め(座薬・内服薬・点滴いずれでも)を追加で使用いたしますので、遠慮なくおっしゃってください。
Q.おしっこの管は入れますか?
A.手術のあとはご自身で尿意を感じてトイレに行き、用を足すのが難しくなることがありますので、おしっこの管を麻酔がかかったあと入れさせていただく場合があります。
長い手術などではどうしても入れさせていただく必要がありますが、全身麻酔だからといっておしっこの管を絶対に入れなければいけないわけではありません。
手術によりケースバイケースなので、気になる方はお尋ねください。
半身麻酔の場合は麻酔が術後も何時間も効いていて尿意も感じにくくなるので、おしっこの管をいれなければいけないケースが多いです。
いずれにしても必要なくなればすぐに抜去いたします。
Q.手術室でどんなことをされるんですか?
A.手術の時間になりましたら、歩いて、車椅子で、またはベッドのまま2階手術フロアに来ていただきます。病棟看護師がお連れします。
入り口で簡単なご本人確認をしたあと手術室に入っていただき、ベッドに横になっていただきます。
心電図の計測や血圧計の測定などを行ったあと、酸素マスクをお顔に当てさせていただきます。
その次に、全身麻酔の場合は点滴からお薬が入ってきて、眠ります。目が覚めれば手術が終わっています。簡単なチェックを行ったあと病棟へベッドのまま帰室していただきます。
半身麻酔の場合は手術室入室後、背中から麻酔の注射をさせていただき、麻酔がしっかりと効いていることが確認できましたら点滴から眠くなる薬を入れさせていただきます(入れない場合もあります)。この場合もほとんどの方は眠っている間に手術を終えることができます。
Q.ごはんは手術のあといつから食べられますか?
A.当院では早期回復のため、手術当日の夜からお食事は再開していただくことが多いです。
ただお腹の手術や、大きな手術の後などの場合、お食事の再開が次の日以降になることもあります。