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ドクターインタビュー Doctor interview

白内障と緑内障のお話

白内障と緑内障のお話

眼科部長 中田 敦子(なかだ あつこ)

1989年宝塚市立第一小学校 卒業
1992年宝塚市立光ガ丘中学校 卒業
1995年兵庫県立宝塚北高等学校 理数コース 卒業(現・グローバルサイエンス科)

2001年 香川医科大学医学部医学科 卒業(現・香川大学)
大阪大学医学部附属病院 眼科 勤務
2003年 大阪厚生年金病院 眼科 勤務(現・大阪病院)

2006年 市立池田病院 眼科 勤務
日本眼科学会専門医 取得
2007年 宝塚第一病院 眼科 勤務

今日は白内障と緑内障について先生にお話をお聞かせいただきます。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今日は白内障と緑内障について先生にお話をお聞かせいただきます。よろしくお願いします。
基本的な質問ですが白内障には、自覚症状はあるんですか。
自覚症状はあります。大概皆さんメガネをかけても見えにくくなったり、眩しくなったりします。
基本的な質問ですが白内障には、自覚症状はあるんですか。
眩しくなるんですね。
そうですね。特に、運転してて対向車線のヘッドライトが眩しくて気になると言って来られる方が多いです。
それは何歳ぐらいの方が多いのですか。
そうですね、個人差があるので、ご高齢の方ほど起こりやすいんですが、 頭に白髪が出るみたいに目の中で濁りが出る病気なんですよ。患者さんにご説明する時も、50、60代ぐらいになったら症状が出やすいですとお伝えしています。
そうなんですか。
はい。ただ白髪がちょっとだったらそんなに気にならないじゃないですか。ゴマ塩みたいな白髪の人もいれば、真っ白になる人もいますよね。白内障も同じで、少しであれば見えますが真っ白になってしまうと物が見にくくなるので、生活に困ると感じた時に手術を考えてみてはいかがでしょうか。
では、診察を受けて手術の判断になるのですね。
そうですね。白内障の手術は体の負担が少ない手術です。手術時間は早ければ10分ほどで終わります。
えっ、そんなに早いんですね
そうなんです。普通であれば10分程度でできます。難しい人でも30分以内で大概終わります。
手術器具が良くなってるので、安心して皆さんに受けてもらっています。
では、終わったらすぐ帰れるんですか?
そうですね。日帰り手術の人は、手術の後、血圧など体調が大丈夫なのを確認したら、すぐご自宅に帰れます。
手術時間は短いですが、手術は瞳が開いた状態で行います。この状態にするのに散瞳剤を点眼しますが、しっかり薬が効くのに1時間30分かかります。
体の負担が少ないということは、ご高齢の方でも安心ですね。

そうですね。ご高齢の方でも安心です。宝塚第一病院でも最高年齢104歳の方を手術しました。

手術してどのくらいで、見えるようになるんですか?
早い人なら、翌日から視力が1.0出たりする人もいます。ただ濁りが強ければ強いほど、炎症が出るので、視力が出るのに一週間程度かかる人もいます。ちょっと個人差がありますけど大概、一週間ぐらいしたら視力が出る方がほとんどです。
では、手術前と見え方が全然違いますね。
そうなんです。患者さんがすごく喜んでくださるので、やりがいがあります。皆さん、自分の顔がしわくちゃでびっくりしたとか、家に帰ってみたらホコリだらけでびっくりしたとか。 今まで見えてなかったなっておっしゃっています(笑)
今まで普通と思ってたんですね。すごくすっきり見えるのは嬉しいでしょうね。
そうです、そうです。見えるようになると骨折とかも減って、寝たきりになる率が下がると言われてるので、積極的に手術してます。
そういった面では社会的にも大切なことですね。
そうですね。認知症もしっかり見えてるほうが起こりにくくなるので、眼から刺激を受けるという点で大切だと思います。
次に、緑内障についてお聞きします。緑内障とは、どんな病気なんですか?
緑内障は眼圧によって視神経が痛み、一回なってしまうと治らない病気で、初期に見つけることが大事なんです。
こちらは治らないんですね。
そうなんです。白内障は手術して治る病気なんですけれども、緑内障は手術しても、目薬を入れても治らないので、初期で見つけて、なるべく進まないようにしてあげるのが必要な病気ですね。自覚症状は初期ではほとんど分からないので、皆さん中期か末期ぐらいにならないと来られないことが多いです。なるべく他の症状があって受診された時に、緑内障にかかってないかしっかり診るようにしています。
どういう症状になるんですか?
一部分視野が欠けるという症状になります。両目で見てると気付かないんです。大概の人は半分以上欠けてからでないと気付かないので、なんか最近見にくいなと。真ん中から欠けるわけじゃなく、端っこからかけていくことが多いです。
欠けるって、なんか、見えないところがある?
カーテンがかかったように見えないところがある。ぼやけてちょっと見にくいところがある。全く真っ暗ってわけじゃなくて、皆さん自覚症状として、ちょっと白っぽく霞んで、そこだけ見えないっておっしゃいますね。眼科にきて検査しないと自覚症状ではわからないので、40歳以上だと20人に1人ぐらい有病率があると言われてる、割とよくある病気です。一年に一回くらいチェックに来られてもいいと思います。
結構多いんですね。
そうですね。あとは、遺伝性があるとされているので、ご家族で緑内障があるって言われてる方は、一応40歳を過ぎたら検診されたほうがいいと思いますね。
自覚症状はないんですね。
最初のうちは気がつきにくいですね。この病気は少しずつ進行し、気づいた時にはすでに治すのが難しい状態です。生活に困るくらい視野が欠けてから気付くと、すでに末期で治せず不便なままになります。
治療というのは、進行を止めるぐらいのものなんですか?
そうですね。一旦痛んでしまった神経は、基本的に治すことができないので、これ以上進行させない治療が目標です。眼圧という目の硬さを表す数値が高くなることで、緑内障が悪くなると言われていて、眼圧を下げる治療が必要になります。目薬でいいものが出てきているので、大概の方は目薬で治療できます。ただ目薬で治療できない方も何人かいらっしゃって、目薬を入れても進むとか、眼圧が下がらないという方の場合は手術治療になって、宝塚第一病院では手術の治療も積極的にしてます。
手術する場合どんな手術なんですか?
今、当院で多くやっているのが、 線維柱帯切開術です。目の中から、水の流れでる部分を切り開いて、詰まってるところを掃除するような手術です。
やはりこちらも患者さんが増えているのでしょうか?
そうですね。基本的には、目薬をさしても眼圧が下がらず、進行が止められない場合に手術をしますので、緑内障手術まで必要な人の数は、白内障ほど多くないんです。しかし、医学の発達によりMIGS(Micro Invasive Glaucoma Surgery)という低侵襲の緑内障手術が広がり、これから手術症例が増え、緑内障手術を受けられる方は、今後は少しずつ増えていくんじゃないかなとは思っています。
白内障と緑内障の手術は同時に行えるのですか?
緑内障を持っていて白内障になってる人も多いので、白内障の手術をする時に緑内障の治療も積極的にしましょうか、と提案することはあります。もちろん、緑内障だけで手術する人もいます。
難しい人は1時間ぐらいかかることもあるんですが、基本は白内障の手術プラス20分ぐらいなので、患者さんの負担は少ないです。
早期発見のため白内障と緑内障の検診を受けた方が良いのでしょうか?
検診だけで言いますと、ご年齢によりますが半年に1回受ければ、十分だと思います。ゆっくり進む病気ですから。
現在、新しい取り組みを始められているとお聞きしていますが、どのようなことですか?
宝塚第一病院は阪大(大阪大学医学部附属病院)から非常勤の先生にたくさん来ていただいているので、先生方とディスカッションして、今どんな最新治療がされているかということを情報交換し、当院で取り入れていけるものはどんどん取り入れています。また必要があれば、すぐに阪大で治療していただけるよう連携しています。
それは、安心できますね。そういった最新の情報が、病院の眼科ならでは、というところですね。
情報は入ってきやすいと思います。
最後に先生から患者さんにメッセージを。
宝塚第一病院では、患者さんが最も視力を回復させられるような治療をお勧めできる態勢を整えています。当院をお選びいただくかどうかは患者さん自身の選択ですが、こういう治療法があるよということをなるべく広くお伝えして、選んでもらえるように心がけてます。
来院されたら、ご満足いただけるような、その方の生活に合った治療方針などをお伝えするようにしています。例えば、父によく言われる中国の古いことわざに、「小医は病を医す、中医は人を医す、大医は国を医す」という言葉があるんです。大医を目指すのは難しいので、中医レベルで、「病だけを治すのではなく、その人の生活、背景、一人暮らしなのか、家族関係はどうなのか、この家族関係なら、この治療方針が一番合うんじゃないかといったことに少し踏み込んで、お話をしっかり伺いながら治療方針を決めています。患者さんの満足感が高くなるように心がけています。
今日はお話ありがとうございました。
はい、ありがとうございます。

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